ここにきてのセルカン『元博士』の問題である。
ネット上でのディスクロージャーからずいぶん時間がかかっての処分となったが、これには理由があるようだ。
なんと内部調査委員会は、現在東大でアカデミックな職についてる人間のD論を、洗いざらいチェックしていたらしい。
外部からリークがある前に第二第三のセルカンを(こっそりと)つぶしておこうという魂胆だったようだ。
それほど問題は深刻なのだ。
博士号、しかも東大の博士号が半分近くコピペの作文によって得られるなどと知られた日には、日本のアカデミアは世界の笑いものだからだ。
東大、少なくても東大工学部の評価は、石器捏造問題当時の日本考古学コミュニティー同様、地に墜ちるだろう。
それにしてもセルカン氏である。
トルコ大使館で知り合ったいかにも頭の空っぽそうな元大臣様をころっとだました挙句、日本に国費留学生として来たらしいが、彼はこの国の実情を現場で知って意気揚々としたことだろう。
朝8時前になるとニュース番組に占いコーナーがはさまれ、何の根拠もなしに12分割された今日の運勢に一喜一憂する人々。
『Newton』を一冊立ち読みした程度の受け入り知識で堂々と宇宙の神秘を語っちゃう評論家や元宇宙飛行士。
インテリセレブを気取りたくて『エコ』とか『ロハス』とか宣伝しちゃう頭が空っぽの音楽家。
一般人はおろか、インテリジェンスを自称する人々のの科学リテラシーのあまりの低さに、『ちょろいな』と思ったに違いない。
科学にしろ、政治にしろ、社会情勢にしろ、一朝一夕の受け入りな知識でその面白さや本質がわかるほど、物事は『単純』ではない。そういった問題をさもさもしく『わかりやすく解説しちゃいました』的な入門が好きな人が、日本にはなぜか多い。他分野に広く興味を持つのは大変結構。ただ、そんなものをつまんだくらいで自分のインテリジェンスのレベルが上がったと勘違いしているイタイ人が多すぎる。
たぶんセルカンによってたかっちゃった人たちも、アカデミックな基礎知識には欠けてるけど、受け入りのサイエンスを吸収してプチインテリぶりたい無垢で馬鹿な人たちだったのだろう。
彼が建築に取り入ったのは、僕は必然だったと思う。ていうか、彼が建築学科の助教と初めて聞いたとき、僕は『やっぱりな』と妙に納得してしまった。工学部、殊に建築学科の先生方は、まさしく上に書いた『イタイ人』の集まりみたいなもんだ。彼らはアカデミアにいるべき人たちではないし、そもそも建築学は学問ではない。純粋に芸術や工芸の世界で活躍すればいいものを。下手にアカデミアのお墨付きがほしいからこの世界に入ってしまったばっかりに、お偉い教授先生方が寄ってたかって、わけのわからんコピペ論文にまんまとドクトレイトをあげちゃうわけだ。
いっぽう、うそつきはばれるまでうそつきをやめられない。
彼にとってこの国は馬鹿な連中ばかりのパラダイスだったろう。しかし、彼の唯一かつ最大の失敗は、この国には情報リテラシーに長けた、揚げ足取りの大好きな人間がたくさんいることを知らなかったことだ。
わざわざ外国から詐欺をするためにやってきた『助教先生』は、この国にはびこる、物知り顔なイタイ人たちの姿を次々と照らしてくれた。そう思えば彼に盗まれた奨学金や科研費も、溝に捨てるよりは価値があったか。
4 件のコメント:
どう考えようと自由だが,掲示板に面白おかしく書き込んでいる多くの人々ではなくて,実際に地道に究明活動をした人たちのことを,「揚げ足取りの大好きな人間」となぜ思うか純粋に知りたい,不思議なので.
Smithさんへ
私は単なるこのブログの一読者ですが、「揚げ足取りの大好きな人間」はブログ主さまの諧謔に過ぎないと思いますよ。
エントリの趣旨は日本のイタい人たちを揶揄することにあることは明白です。
もっといろんな文章に触れて、行間を読めるようにしましょうよ。
匿名さん,著者の方に代わってのきわめて迅速なレスポンスをありがとうございます.私もある意味,いろいろな文章を読んだり書いたりすることを長年職業としており,これ以上,さらにいろいろな文章を読むのは物理的にいっぱいいっぱいですが,ご親切なアドバイスをありがとうございます.著者の方への質問は,匿名さんには通じていないようですが,たとえば,皆で協力して犯人逮捕に貢献したとした状況だとして,捉えた側を諧謔としてでも「揚げ足取り」と表現する心理学的認知科学的な過程に対する純粋な興味からです.(もちろん,「揚げ足取り」というのはかなりはずしているという確たる前提の上です.)
>ネット上でのディスクロージャーからずいぶん時間がかかっての処分となったが、これには理由があるようだ。
人事関連事項ならこれくらい普通だと思いますが。
まして調査委員会に海のものとも山のものとも分からないNASAの証明書やもろもろの書類を提出されれば、その検証や確認に時間が割かれるのは当然でしょう。
世の中、大げさなことはないと思いますよ。勿論、可能性の話ですが、確認作業自体はしているかも知れません。この場合、精査する必要がありますから、結果は半年後や1年後、場合によっては数年後になるでしょう。
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